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第41回ドル暴落説の陰謀
投稿者: Webcrew_01 掲載日: 2010-9-7(7896ヒット)

最近また良く同じ質問をされることが増えたのですが、日本国内では出版物の影響などもあり、短期的なドル暴落説がまことしやかに囁かれているようですね。本件に関する私の意見は、「ドル基軸通貨と赤字国債の行方」でも書いたとおり、米国はいまだに世界のGDPの3割弱を占めるスーパーパワーであり、圧倒的な軍事力を持っており、米ドルに代わる基軸通貨は他にありません。FRBのバーナンキ議長が米ドルの低金利政策を継続する必要がある旨の発言をしたことから、短期的にはドル安円高が続く可能性がありますが、ドル安=ドル建てファンドの下落ではありません。

積立投資プランで選択できるファンドのうち、8割は米ドル建てのファンドですが、その中には中長期的な成長が期待される新興国や商品関連ファンドが含まれます。理想的には新興国の通貨建てで、新興国のファンドを運用することができれば良いのでしょうが、人民元建ての中国株ファンドを外国人が購入することができないように、新興国通貨には流動性リスクがあります。日本人が中国で人民元建て銀行口座を開くことは簡単ですが、中国国内に預けたお金を国外に持ち出すことには制限があります。他の新興国にも同じような外貨規制があるため、新興国に投資するファンドは、最も利便性の高いドル建てファンドが多勢を占めます。

それでは今後、ドル安になったら、ドル建ての新興国ファンドの基準価格が下がるのかというと、必ずしもそうなるとは限りません。新興国ファンドは便宜上、基準価格をドル建て表示にしてあるだけで、実際の基準価格は新興国の通貨と株価に連動することになります。つまり、ドルに対して新興国の通貨が上昇した場合、ドル建てのリターンは増えることになります。将来的に中国人民元が切り上げされる可能性が高いと言われていますが、ドル建ての中国株ファンドに投資していても、人民元切り上げの恩恵を受けることは可能です。

それではドル暴落説を唱える人達が何を根拠にしているのかというと、米国の巨額な貿易赤字がいつまでも続かないと考えていることが主な根拠になっていると思われます。しかし、米国ではいまだに年間300万人の人口が増え続けており、2050年には人口が4億人を超えると予想されています。また、米国とは、世界中の優秀な人材を引き付けて拡大を続ける経済で、金融以外にもバイオ、IT、エンターテイメント、科学技術、農業など多くの分野で米国は世界をリードしています。しかし、2008年の金融危機の発端が米国のサブプライムローン問題であったことを考えると、世界経済に占める米国の一極集中を終焉させたい気持ちは分からないでもないですが、そうなるためにはまだまだ長い時間が必要です。

将来的な為替動向は誰にも正確に予想することはできません。中長期的にはドル安とドル高、両方の可能性がありますので、どちらに転んでも良いように、運用資産を複数の異なる資産クラスと通貨に分散しておくことが賢明です。ドルが将来的に暴落する可能性は全くないとは言えませんが、非常に低い確率であると私は思います。将来的にあるかないか分からないような可能性を念頭に置いて運用プランを立てると、運用の方向性を見失うことになりますので、皆様自身の将来的な年金対策や教育費対策など、より現実的な未来を念頭に置いて運用プランを立てられた方が良いでしょう。


香港在住ファイナンシャルアドバイザー
木津 英隆
Email: hidetaka.kitsu@gmail.com

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