私の夢を一つ申し上げるとすれば、いままで日本では当たり前とされてきたことで、でも世界の常識とは少しずれていると思うことを私が情報発信し続けることで、少しづつでも良いので、日本人全体の意識を変えていきたいと思っています。皆の意識が少し変わるだけで、日本はまだまだ発展していける可能性が高い国だと思います。
その一つが「ケイレツ主義」です。一昔前、米国と貿易摩擦が発生したときに、ダンピング問題で米国人にも「ケイレツ」という言葉が知れ渡りました。日本人は商売をするときに、昔からのお付き合いや人間関係を重視する傾向があると思います。でも結果としてそれは商品コストが高くなったり、他に良い商品と比較検討する機会を失うことにつながります。日経新聞より、脱東京、脱ケイレツを目指して、鎌倉に資産運用の拠点を構えた元外資系金融マンの記事を紹介させて頂きます。
JR鎌倉駅から地図を頼りに歩くこと20分、昭和初期に建ったという日本家屋の前に着いた。驚く人も多いだろうが、実は投資信託会社の本社である。今月初めに当局への登録を終えた。名前は、ずばり鎌倉投信。(中略)マーケットから離れた方が、短期的な相場の上げ下げにとらわれずに長い視点で企業価値を考えやすいという。都心に比べてコストも安く、その分を投資家に還元できる利点もある。(中略)もちろん東京を離れれば必ず運用がうまくいくというほど単純ではない。自力での営業は大きな苦労も伴う。鎌倉投信の運用や経営に成功の保証はない。ただ同社の動きをきっかけに日本でも投信会社の地方分散が進めば、「市場」と「流行」に振り回されない長期運用のファンドが増える可能性もあるのではないか。
金融業でも、製造業と同様に、コストの削減は重要な課題です。東京の一等地にオフィスを構えれば、オフィス賃貸料と人件費が高くつくことになりますが、鎌倉の駅から離れた日本家屋であれば賃貸料はタダも同然、生活費コストも安いでしょうから、人件費を安く抑えることが可能になります。
私も自宅から事業を立ち上げたので、毎月必要なコストは家賃だけ、外食は安いお店しか行きません。私が所属するIFAもセントラルの一等地からは少し離れた場所にあり、最寄りの地下鉄駅より徒歩10分ほどかかりますが、賃貸料が安い割には眺めは抜群のオフィスです。正社員は40名しかいませんが、アジア各国に600名の資産運用コンサルタントと25,000名の顧客を抱えているので、費用対効果はかなり高い仕組みになっています。なぜこれだけ沢山の顧客を抱えることができたのかというと、固定費や広告宣伝費を最小限に抑えて、その分を投資家に還元してきたからだと思います。
先日も日本のお客様と電話で話していて、「日本で購入した投資信託は一度もリターンが出たことがない」と嘆かれていました。円高や昨年の金融危機で株価が下落した影響も大きかったと思いますが、今年、世界の株価が26%上昇したにもかかわらず、リターンを享受できていないお客様が多いのは、日本で販売されている投資信託の内部コストが高い、という問題もあると思います。
東京の一等地にオフィスを借りて、高い給料を従業員に払っていたら、当然その分のコストは投資家に跳ね返ってきます。それでも日本の金融機関が投資信託を販売し続けることができるのは、厳然としたケイレツの仕組みが日本にあるからだと思います。前にもブログで書きましたが、会社の上司の勧めやお付き合いで投資信託や保険商品を購入するのはやめましょう。
グッチやプラダなど価値あるブランド品を購入するためには大金をはたいても良いかもしれませんが、資産運用の世界では、製造業と同様に、コストを安くできた会社の方が、市場で良い成績を収められる可能性が高くなるのです。有名銀行で有名ファンド会社の金融商品を購入した場合、市場競争の原理では、半周遅れでスタートするのと同じことになります。一般の方には銀行や保険会社の内部コストは見えづらいと思いますが、まずは本社の立地条件や従業員の平均給与からかかる内部コストを想像してみると良いかもしれません。
11月28日ブログ「私の仕事の使命感」でも書きましたが、私は路地裏の隠れた名店を目指しているので、事業継続に必要な報酬を頂いたら、それ以外の収益はお客様に対するサポートを向上させるために使わせて頂きますので、一人一人のお客様に時間をかけて、美味しい料理を提供させて頂きます。お客様は私の店(=ブログ)まで辿りつくのが大変だと思いますが、一度辿りついたら、コタツでゆっくりおくつろぎ頂けます。そんな隠れた名店を目指して、ケイレツには頼らない地道な営業活動をこれからも続けていきたいと思います。
香港在住ファイナンシャルアドバイザー 木津 英隆 Email: hidetaka.kitsu@gmail.com
筆者ブログはこちら 香港FA木津英隆のマネーは巡る http://blog.explore.ne.jp/kitsu/

(シンセンスクエア)
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