最近、週末は中国と香港を行ったり来たりしていますが、深センの国境ゲートに、香港投資移民制度の看板がデカデカと出ていました。これは、650万香港ドル(約8000万円)以上の金融資産もしくは不動産を購入することで香港の居住権ビザが得られ、7年連続ビザを維持すると、永久居民権と香港パスポートが得られる制度です。
大陸在住の中国人にとって、この制度を利用する価値は大きく、自分自身が世界各国を自由に旅行できるようになるほか、子女を香港や海外の大学に入学させることも容易になります。われわれ日本人にとっては至極当たり前の話ですが、そのような特権を享受できる中国人は人口のごくわずかの人達です。 それでは、われわれ日本人にとって、この香港投資移民制度を活用するメリットは何でしょうか?

通常、仕事で香港に居住するビザが得られるのは、駐在員として香港に派遣されるか、現地採用で仕事を見つけるか、そのご家族の方に限定されます。しかし、この香港投資移民制度を活用することで、合法的に香港で事業活動および投資活動を行なうことが可能となります。
650万香港ドル(約8000万円)の金融資産もしくは不動産を購入して居住ビザを取得して、現地採用で働く人はいないでしょうから、対象となるのは企業経営者もしくは個人事業主の方になるかと思います。事業主の方にとって、香港を拠点に事業活動や投資活動を行なうメリットは大きいと言えます。香港では所得税・法人税ともに最大17%までしか課税されないので、最大50%近くも課税する日本とは大違いです。
日本は累進課税制度であるため、年収1000万円を超える当たりから税額が高くなり、年収800万円と年収1500万円の人では手取り額に大きな差がないという現象が起きています。私も以前にコミッション含めて日本で年収1000万円を超えたことがありましたが、翌年に恐ろしい金額の納税請求書が来て、年収がダウンしていたにも関わらず、満額請求されて私の手元には何も残りませんでした。
そのときに、日本を出国して、海外居住者となることを決意しました。このような環境では、個人が自分でリスクを取って起業して成功したとしても、利益の多くを御上に取り上げられてしまうのですから、日本でベンチャー起業家が育つはずもなく、ジャスダックなど新興市場に投資する魅力がなくなり、結果として日本経済の活力を失うことになります。
香港では1人1社と言ってもおかしくないぐらい、普通のOLやサラリーマン達が皆、自分の会社を持っています。会社から給料をもらいながら、虎視眈々と独立する機会を伺っているわけです。香港人と名刺交換すると、良く名刺を2枚渡されることがあります。1枚は勤務先の名刺、もう1枚は自分が作った会社の名刺で私はこういう仕事ができます、ということが名刺に書かれています。
日本人が香港投資移民制度を活用するもう一つのメリットは、投資・配当・利息収益が全て非課税となり、相続税対策にもなるということです。香港では相続税、贈与税も非課税となります。但し、日本政府から海外居住者として認めてもらうためには、自分自身の住所を海外に移すだけではなく、ご家族の住所も全て海外へ移して頂き、少なくとも年間180日以上は海外に滞在していなければなりません。
90年代以降、日本の製造業が高い法人税を回避するためにこぞって海外に拠点を移して製造業の空洞化が進みましたが、次は居住地を海外に移す日本人が増えて、日本国自体の空洞化が進んでいくのではないかと思います。魅力のない国から魅力のある国へヒトやモノの移転が進むのは、当然の成り行きだと私は思います。
香港在住ファイナンシャルアドバイザー 木津 英隆 Email: hidetaka.kitsu@gmail.com

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