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世界同時不況下の深セン市民
投稿者: Admin 掲載日: 2008-10-28(4057ヒット)

国際金融市場に激震が走り、世界経済は着実に悪化。市況を取り巻く不確定要素は依然多い。世界中を席巻する世界同時不況が中国の実体経済に与える影響は日に日に拡大しているようだ。この不況は深セン市民の生活にどのような変化をもたらしているのだろうか?

①輸出貿易業と国内販売業

・皮製品輸出業の庄社長:金融危機により深刻な損害

深センは輸出産業の比重が高い。一番に金融危機の影響を受けたのがこれらの輸出企業だ。庄社長は深センに最も早くにやってきた香港企業家の一人だ。福田に革製品加工工場を建設し、主にフランス企業からの依頼を受けて商品を製造している。最盛期には700名いた従業員も今では100名強にまで減った。「今年の冬を乗り切れるか分らない」庄社長は今年冬の経済市況へも悲観的な見方をしており、更に09年はより状況が厳しくなると考えている。少しでもコストを抑えるため、現在工場の特区外への移転も検討している。97年のアジア通貨危機が発生した時、庄社長はすでに深センで工場を経営していたが、香港で早くに不動産を取得していたため借金も無く、工場への注文はフランスから入るため、金融危機の影響はほとんど受けなかったという。しかし、今回の経済不況はフランスからの注文を激減させている。価格の値上げ交渉も上手くまとまらず、金融危機による影響は大きい。「現状は本当に厳しいんだよ。」庄社長は帳簿を開き、今年の注文数が昨年の半分になっている事を明かした。07年に人民元切り上げによる為替レート変動の圧力を受け、リストラを断行。工場には現在100名程の従業員しか残っていないという。

・玩具販売業扈社長:売上は一気に上昇

玩具の国内販売業を営む深セン皮皮熊玩具公司の扈藍天董事長は現在、中国各地で販路開拓に注力している。「こんなに売上が上がるなんて信じられない情況なのよ。」彼女は率直に現状を語った。「そこらじゅうを走り回って工場を探しているの、以前はアメリカや日本向けの輸出品しかやってこなかったような大企業が私達と手を組みたいと言ってくるの。理由はとても単純な事なんです。わが社は07年、思い切って海外輸出事業から撤退し、中国国内マーケットだけを狙うと決めたの。」扈董事長は最近同社が売り出した新しい知育玩具「魔法クマちゃん」という商品を見せてくれた。これは、出される指示通りにこのぬいぐるみに運動をさせるというもので、上手く出来れば子供達を褒める言葉が流れるという。「危機には必ずチャンスがつきもの。新商品を次々と打ち出し、マーケットニーズに合致した商品を開発する、そうすることで発展著しい中国国内市場を攻略していきます。」

やはり同じように内需に絞った販売戦略をとる「依波表」社も突出した成功を収めている。同社市場部担当役員の林麗氏曰く「今年の9月度実績は素晴らしいものとなりました。」

②投資派と貯蓄派

・投資派の趙さん:損失は60%以上

趙さんは熱心な投資マニア。海外市場が連日暴落するのを受け、海外投資を行うQDII基金はほぼ全滅。趙さんは甚大な被害を受けているのだが、一つだけラッキーだった事がある。彼女が上投亜太ファンドを購入した際、購入希望者が殺到したため20万元分申し込んだのにも関わらず、4万元分しか購入できなかった事だ。10月10日に公表された最新報告によれば、上投亜太ファンドは0.396元にまで価格が下落、趙さんの資産は約3万元消えたことになる。この他、趙さんは嘉実海外に2万元投資していたが、10日の発表でこれも0.416元まで下がっており、彼女の2万元は約8,300元になってしまった。歴史的にもまれな今回の世界同時不況により、趙さんは株でも大損害を蒙っている。18元で購入した宝鋼の株は現在5元、16元で買った大唐発電は6元にまで値下がりしている。

・貯蓄派劉さん:損失無く、資産を維持

世界同時不況は中国の金融市場へも多大な影響を及ぼしている。株式やファンド所有者の資産は大幅に縮小しており、損失は深刻だ。一方、06、07年と投資では一切儲けてこなかった劉さんは当然損失など出していない。劉さんは一貫して「貯蓄」派であり、仕事の忙しさもあってここ2年ほどの株価高騰、不動産価格急騰にもあまり注目してこなかった。給与やボーナスは全て銀行の普通預金口座に振り込むだけ。「最近どうも暇になってしまって。周りの友人達がめっきり飲みに出なくなって、金融危機だなんて騒ぐものだから慌てて自分の口座をチェックしましたよ。でも、20万元の普通預金に、10万元の3年定期預金ももうすぐ期日が来るし。私は何も変わらないんですよね。貯蓄はCPIのようなスピードでは増えませんけど、減りもしないですからね。」

③不動産投機派と賃貸派

・不動産投機を行う張さん:現在売却を検討中

張さんは深センに住む普通のサラリーマン。だが、彼は広州、深セン、省外に合わせて5軒の不動産物件を所有する。深センにある3軒のうち1軒はすでにローン完済。深センの2軒と広州、省外の計4物件には毎月2万元のローン返済が必要だ。張さんが深センへ来たのは10年以上前。来てすぐに住居用の部屋を購入した。05年、更に頭金2割を前払いして中旅国際公館の120平米の部屋を購入。購入価格は1平米あたり約8000元だった。その後、福田区で70平米の部屋を、広州で120平米の部屋をそれぞれ購入した。07年4月頃、張さんは中旅国際公館の部屋を1平米あたり1万4,000元で売却。しかしその後も中旅国際公館の値はどんどん上がり遂に1平米あたりで2万元を突破してしまう。これを非常に悔やんだ張さんは、福田区で更にもう1部屋新たに購入した。
現在、毎月2万元のローン返済を抱える張さんはその負担の重さに頭を抱えている。家賃収入は返済額に及ばず、1部屋売却も考えているという。張さんは、世界同時不況が実際経済に及ぼす影響が今後どれだけ広まるのか…とため息をつき「やはり慎重なのが一番だ」と話した。

・賃貸派の易さん:一生賃貸だと思う

易さんは02年に深センへやって来た。「自分が深センに来た当初、妻はまだ出て来ていなかったから、私の給与で2人が生活をしなくてはならなかった。生活は苦しかったですね。」易さんの仕事は比較的安定している。ずっと借りている部屋は社宅なので、3LDKで毎月の家賃は1,000元ほどと格安だ。易さんの奥さんは深センに来てから仕事が安定せず、今までに5回転職を繰り返して来たが、最近ようやく落ち着いてきたという。「二人で05年までに10万元貯めたんですよ。子供が生まれたら大きな部屋に住みたいでしょうし、自分達で部屋を買おうと南山地域でいくつも部屋を見ました。でも、頭金10万元で購入できる部屋を見ていたら、これなら賃貸で住んだほうがましだなと思い始めて。」その後、不動産価格は高騰し銀行にある貯金では到底購入できなくなってしまった。「今、皆が不動産は下がったと言うけどね、私達が買えるレベルにまで下がってるわけではないですから。」易さんはよく新聞に掲載されている「中古物件」を見るが、05、06年当時と比較すると価格は全く下がっていないと言う。「いいなと思った120平米の部屋がありましたけれど頭金で50万元必要だといわれました。私達の手元にある現金は20万元もありません。もし銀行でローンを組んで部屋を買おうと思ったら、住居環境は賃貸で住んでいる今の部屋よりも確実に悪くなります。とてもマンションなど買えませんよ。おそらく、私達は一生賃貸の部屋に住むと思います。」

④高級レストラン:軒なみ不振

世界同時不況の波は深センの飲食業へも押し寄せている。深センの街を歩くと、多くのレストラン、ショッピングセンターの賑わう光景が目に入るが、実際消費者達の財布の紐は堅い。注文するのは今日のサービスメニュー、買物も割引商品に偏り、市民の消費力は明らかに衰えている。レストランの売上も落ちており、営業利益も以前より大幅に下落。年の瀬も近づき、本来であれば多くの人々が一年の労をねぎらうためこの時期に買う高級品も今年は無期限延期とされる場合が多いようで、市内の高級品を扱うショップが打撃を受けそうだ。

金光華広場の高級レストラン、いつもは週末ともなれば予約も取れないほどの人気店だ。しかし先日、張さんがボーイフレンドと一緒に土曜日のピークタイムに訪れたところすぐに案内された。店内の客数は少なくはないが、以前のように満席にはなっていなかった。同レストラン経理の林さんによれば、10月の売上は前月に較べ大幅に下落、ほぼ3割ほど減っているという。「マスコミが世界同時不況と騒ぎ立てるから、一般の人々も経済の見通しに悲観的になっているんです。当然消費は冷え込みまから、私どものような高級レストランへの影響は大きいです。」同レストランでは、すでに対策を講じており、ランチタイム割引や毎日の特価メニュー、現金券の配布等で消費者を呼び込もうとしている。

同レストランからすぐの場所にある海上皇酒楼は、フカヒレやアワビが看板メニューの高級店。ここもやはり、売上が落ちている。海上皇酒楼オーナーによれば、はっきりと客数が減少しているわけではないのだが、一人当たりの平均消費金額が下がっており、フカヒレやアワビ等の高額メニューの注文率は明らかに減少しているという。

海上皇酒楼と同一区画にある三島潮皇軒酒楼の顧客はほとんどが香港からの常連客だ。同店の責任者も同じ悩みを抱えていた。客数は変わらないのに売上が下がっている、つまり高額メニューが出なくなっているのだ。また、同店の近くにある高級レストランは現在転売準備を進めているという。この店は売上が4割も減り、以前は個室まで満室になるほどだったのが、今ではホールまでがらがらだという。

⑤市民消費:より慎重に、綿密に

人々の買物も、外食同様以前のように気前よくとはいかないようだ。26日、市の中心部にある天虹購物広場で、サンディさんはボディシャンプー売り場の前にいた。長い時間をかけ、一つ一つの価格をチェック。最後は定価より10元安いラックスのボディシャンプーを買った。今年30歳を迎えたサンディさんは福田保税区の外資系企業に勤めている。金融危機が直接収入に影響しているわけではないが、毎日新聞で世界経済への悲観的な記事を読むことで、彼女の心理にも変化が生じたという。「以前生活用品を買うとき、たいてい値段は見ずに買っていました。でも今は、どのメーカーの商品が割引しているかをチェックしてそれを買うようにしています。無駄遣いしないで済んだお金は出来るだけ貯金します。」

広告会社で働く陳さんも同じような考えを持っている。月収約1万元の陳さんにはお気に入りの高級ブランドの手袋があるという。毎年クリスマスになると、彼女は自分のためにこのブランドの手袋を買って一年間頑張って働いた自分へのご褒美にしてきた。しかし、今年はこのブランド手袋購入が陳さんの年末の買物計画の中から削除された。彼女によると「購入理由」がなくなったという。「私は株もやるんですが、マーケットが良かったときはお金を稼ぐのって簡単だと思ってました。それでエステや手袋、なんでも買いました。でも今、株は7割も減ってしまって。年末のボーナスも期待できないし、今は贅沢なものを買うくらいなら、そのお金を貯金します。」

⑥高級品消費:大幅減少

深セン旭輝法律事務所の張華さんは頻繁に様々な会食に顔を出す。「最近はこうした付き合いも相当減りました。実際、深センの人々に一番大きな影響を与えたのは株式市場の暴落でしょうね。多くの人が損をしました。」最初は今年の初め頃、付き合いに顔を見せる友人達が減った。「おそらく、実際に不況の被害を受けた可能性はそれほど大きくないでしょう。大きいのは心理面への影響。経済の見通しが悪そうだと、皆が消費を避けるようになる。」一部市民は、生活自体は以前と大差ないけれども、マスコミ報道を見て世界同時不況のマイナス影響について知り、節約するようになったという。

調査によれば、高級品を購入することが減ったというのは市民のほぼ共通した意見だ。店側への調査から見ても間違いはない。高級海鮮食材を例にとってみる。全市の高級海産物卸売りの90%以上を扱う羅芳水産市場では、各店の店主達が売れ行きの悪さを嘆いている。同市場で働く店員によれば、ここ数ヶ月間売上は下降し続け、ロブスターやアワビ等の販売量は毎年より3割近く減っているという。興鴻大閘蟹の店主ゴさんは、毎年10月は大閘蟹のピークなはずが今年は前年比で4割近く売上が落ちているとため息をつく。

また、デパートでは冬物衣料の新作が出る季節であるが、今年は値下げ商品が好まれ、更に買物は慎重に、綿密にと傾向が変わっているという。某婦人服ブランドの深セン地区販売店によれば、本来であればこの季節人々は競って冬物の新商品を買って行くはずが今年は様子が異なるという。9月度の売上は前年比3割減まで落ち込んだ。販促をいつもより多く行い、なんとか販売目標を確保したいという。

(シンセンスクエア)

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