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ネット回線事情(07年4月最新版)
投稿者: Admin 掲載日: 2007-4-17(7627ヒット)

中国の巨大マーケットを求め、世界各地から多彩な業種の企業が進出している中、インターネットを利用した新しい情報発信を行う企業がここ数年増加傾向である。13億を超える人口を擁する中国市場において、インターネット利用者はアメリカに次いで世界第2位を誇り、都市部においては1Mbpsの個人向けADSLはおろか光ファイバー利用者は潜在的に5000万人以上にも及ぶと言われている。

::中国の通信キャリア::
中国の大手通信キャリア事業社には4社があり、そのうち、中国電信(China Telecom)と中国网通(China Netcom)は業界最大手として君臨する。以前は中国電信が独占的経営を続けていたが、2002年に中国の北部である北京、天津、大連、ハルピンなどの事業を中国网通へ渡してからは南部の上海、南京、重慶、深セン、広州などを主に、中国を2分する形で事業展開を行ってきた。

しかし、ブロードバンド化がかなり進んでいるとは言っても、中国における通信速度は安定しているとは言えず、これはキャリア間の帯域不足に加え、慢性的に海外接続回線の帯域が不足していることが原因となっている。この状況は、日内変動の差によっても顕著であり、時間帯によってはわずか数Kbps程度しか出ず、最悪の場合はアクセスすら出来ないという状況も発生する。

こうしたトラブルから大量のデータを中国と日本との間でやり取りする外資系企業においては、その通信速度の遅さを回避するために中国との間に専用回線のIP-VPN※1などを設置、高額ではあるがその費用を負担して問題解決している場合も少なくない。


※1 IP-VPNとは?
新型の広帯域WANサービスとして知られている。通信プロトコルとしてIPを利用して、インターネットやデータ通信網上で仮想的なユーザー専用のプライベートネットワークを構築する方法。一般的には通信業者が独自に構築した閉域IP網を介してネットワーク構築をするもので、海外にある事務所や事業所と国内本社を繋ぐ仮想ネットワークとして利用されることが多くなっている。IP-VPNには専用回線を使い、パケット転送時にはMPLS技術(閉域性を確保するためIP-VPN間においてはIPアドレスを使わず、ラベルだけを用いて高速転送することができる技術。インターネット技術の標準化組織Internet Engineering Task Forceによって規定されている。)を利用。通信業者が自在にセキュリティを確保することができるというもの。またインターネット上で仮想トンネルを設定し、ユーザー認証やデータを暗号化することによってVPNを構築したり、ダイアルアップVPNとしてRAS(PPPやSLIPといったリモート・アクセス用プロトコルを利用してTCP/IPやSPX/IPXなどのネットワーク・プロトコルを使えるようにするサーバ)技術を利用してISDNや携帯電話・PHSからダイアルアップで接続するもの。

またキャリア間の接続が非常に悪く、インターネットが遅い、あるいは安定していないといったトラブルを頻発させている。これは日本ではほぼ解消されているキャリア間(NTTと日本テレコムなどといったキャリアの違い)のデータ通信の相互乗り入れ技術であるIX(Internet eXchange)※2の普及がまだまだ不足している点や中国側のフィルタリング体制にも関係するところであり、意図的に接続不可となっていると思われるサイトも多い。その場合IPアドレス単位にてブロックされるといったことも普通であるため、中国ではこのことを考慮した設計が必要になる場合がある。またいくつかのプロバイダのiDC(internet Data Center)を利用して、ユーザーが利用しているキャリアに応じて接続先iDCを変えるといったサービスを行うこともままある。

※2 IX(アイ・エックス)とは?
IXと呼ばれるのはインターネットエクスチェンジのことを指し、サービスプロバイダのネットワークを相互に接続し、トラフィックの乗り入れ、交換を行い、中継する接続点のことを言う。世界規模のIXの他に日本国内全体のトラフィックを接続するIXや特定地域のみのトラフィックだけを交換する地域IXなどトラフィックに応じてさまざまなIXが存在する。

::データ通信サービスを行う日本企業::
こうしたデータ通信の中国に特化したサービスを提供する日系企業も多数存在し、今後更に加速していく日中間のデータ通信をサポートしている。Panasonicの松下の傘下にあるhi-ho Net ChinaはCDMA方式によるデータ通信を迅速に処理するためのデータ通信カードの販売を推奨。また上海を拠点とするTOUCH-NETSingTelそして日本国内最大手であるNTTコミュニケーションズKDDI日立情報システムなどがあげられる。

2006年12月26日台湾南部で起こった巨大地震は海中の通信ケーブルを切断し、電話、FAX、インターネット、データ通信などのすべてを一時的にマヒさせた。特に中国、香港の被害はその後1ヶ月あまりも及び、インターネットにつながらない、メールが出来ないなどの混乱を招いた。
※深センニュース参照

  • 緊急報告!台湾地震の通信不具合

  • 続報:台湾地震後の通信復旧状況


  • IP-VPNを利用し、マルチキャリアによるこうしたデータ転送、通信サービスは、中国でのインターネットにおいては今後ますます付加価値が高まっていくと思われる。

    ::中国网通の日本進出::

    しかしながら4月15日付日本経済新聞NIKKEI NETによると、中国網通集団は日中2国間を結ぶ接続回線を日本国内のインターネットプロバイダーに提供するため、日本に初めての事業基盤を設置すると深セン日報が伝えている。

    また中国で2番目に大きな固定通信事業キャリアは中国で事業展開する日本企業のためのデータ通信サービスを提供することを計画している、と日刊日経ビジネスも伝えている。

    このプロジェクトにより、中国网通は日本の通信市場に参入する最初の中国主要通信キャリア事業社となる。

    この動きは2008年の北京オリンピックに向け中国-日本間の回線需要の更なる高まりが予想されることに基づくものである。

    その第一歩として、中国网通は東京に3億6600万円(310万USドル)の投資の全額出資子会社「中国網通日本オペレーション」を設立した。社長には富士通出身である高津昌広氏が就任。中国網通の幹部ら3人が日本法人の取締役として兼務する。

    同社はすでに通信キャリア事業社として営業許可を取るため総務省へ申請書を提出した。

    また都内に通信拠点を開設し、近く通信回線をインターネットアクセスプロバイダーへリースするために、日中2国間の海底ケーブルを使用する予定である。

    中国政府によるインターネット配信業務は事実上管理規制されており、日中同様のサービス提供は難しいと見られる。しかし、中国企業が日本の通信キャリア事業社に国際回線へのアクセス権を与える事が示めされ、通信の相互乗り入れが事実上可能となることがわかっている。

    今後、日中間の次世代ネットワークを睨んだ情報通信分野の相互協力が強化されていくことは必須である。


    (シンセンスクエア)

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